ソルジャーサイドへようこそ

購入以降ひたすらヘヴィーローテーションで聴いてます。
購入直後のレビューではダロンのインタビューを引用して書いてたわけなんですが、
一週間聞き込んで、自分なりに感じ、考えた感想なんぞを書いてみようかと。


前作「MEZMERIZE」は元々多様な音楽性を併せ持ったSOADにおいても尚多様な楽曲が揃っていて
アルバム一枚を通しての統一感っていうものはあまり濃くなかったと思う。それは以前の
アルバムにおいても同様のことが言えると思う。それがSOADというバンドの特色でもあるし。
ただ、その芯に通っているもの、根底にあるものは常に一つ。
今回の「HYPNOTIZE」は以前のアルバムとは同様であって同様ではない。
多様な音楽性を内包した彼ら独自の彼らにしかできない音楽を鳴らしているという点では全く
変わらないし、それを通して叫ぶ声も方向も変わらない。
ただ、アルバムを通して一本の筋が通り、統一感の下に全ての楽曲が揃っている。
それが以前とは異なる点であり、大きな違いだと思う。
なぜ統一感を持たせたのか?
それはより曲の持つメッセージを、アルバム全体の持つパワーを強く伝えるためではないだろうか。


では、「HYPNOTIZE」はどういう統一感の下に創られているか?
単刀直入に言うと、“戦争”であり“戦闘”であり、そこで死んでいく“兵士”である。
そしてそこにあるものは悲惨な悲劇でしかないと訴えているんだ。
そう考えると曲順の構成も凄く説得力かつ整合性のあるものに感じられないだろうか。
その曲名の通り#1「ATTACK」によって戦争が開始され、#2「DREAMING」#3「KILL ROCK'N ROLL」
とハイになりつつその攻撃性が加速していく。
しかし、どこか白昼夢のような#4「HYPNOTIZE」を転機に状況が変わっていく。
#5「STEALING SOCIETY」#6「TENTATIVE」とじょじょに自分の中の狂気、そして恐怖に蝕まれ
#7「U-FIG」で狂気の限界に、#8「HOLY MOUNTAINS」で恐怖の限界に達する。
#9「VICINITY OF OBSCENITY」で完全に錯乱し#10「SHE'S LIKE HEROIN」の状態へと完全に
堕落していく。
そして、#11「LONELY DAY」どうしようもない孤独の中で#12「SOLDIER SIDE」死んでいく。
どうだろう?一人の兵士の悲劇的な物語に感じられないだろうか?
戦争がもたらす一人の兵士の悲劇的な死。
平和ボケした日本では感じにくいのかもしれないけど、これが世界の現実(の一つ)ではなかろうか。
戦争から生み出されるものなんて何も無い。
あえて悲劇を描くことによって、その真実を浮き彫りにしようとした。
そんな叫びがこの「HYPNOTIZE」から感じとれないだろうか。


と、自分の考えをツラツラと書き並べてみましたが、どうでしょう?
あくまでも俺個人の感じ、考えたことなので、この解釈が絶対に正しいとかいうことはないし、
そう言い張るつもりもないのであしからず。
本人達も「曲の選考や曲順に特別な意図はない」と表面上かもしれないけど言っているし。
まぁ、この解釈に対する意見とかは大歓迎なのでコメントなりなんなりとお気軽にどうぞ。