広く深く

DDT後楽園ホール大会Into The Fight 2010に行ってきた。
短い人生の半分以上プロレスを見てきてるわけなんだけれど、
なんか、今日はいろいろと新しい刺激になるものを見せてもらった。
特に印象深いのがタイトルマッチ2試合。


セミのタッグではアクシデントと、それを跳ね返す力。
アクシデントで膝を負傷してしまった大社長。当然ローンバトルを強いられる澤。
容赦なく攻めるチャンピオンチームにその澤も顔面を負傷し流血。
普通ならそのまま終わってしまってもおかしくない状況で尚耐える澤。
そんな姿を見せられたら当然気持ちはぐっと入り込んでいく。
そして一瞬の機を逃さず反撃、合体攻撃で畳掛け最後は澤渾身の卍。
正直ここまで気持ちが試合に入り込んだのは久しぶりの感覚だった。
最近はどこか醒めた目で俯瞰するような見方ばっかりしてしまっているのかな。
そんな意識を振り払ってくれた試合だった気がする。


そしてメイン。
キャラクターよりのスタイルを貫いている男色ディーノが、
絶対的なリアリスティックな力で昇ってきたチャンピオン石川修司に挑む一戦。
どうなるのか誰もが予想できずにいた中、開始直後から5分以上ディーノが
グラウンドで石川を攻め立てるといういきなり予想を超越した展開。
それをようやく脱した石川が持ち味の力を全開にして反撃にでるかと思えば、
ディーノの尻を攻めるという相手のフィールドに一歩踏み込んだ更に意外な展開。
ここらへんは見る側の予想を飲み込んで、更にその裏をゆくプロレスならではの
奥深い駆け引きと試合の組み立て。
そして激しすぎる説得力抜群の当たりの強い攻撃で攻める石川、
それになんとか耐えつつ、連続ムーンサルトという奥の手を繰り出し勝利を
掴もうとするディーノ。
しかし、フィニッシュへの決め手がなかなか生まれない、双方どうする。
となったところで石川がまさかの逆ディープキス。そしてタイツを脱ぐと、
ディーノ仕様のタイツ。
掟破りの男色ドライバーからサンダーファイアーパワーボムと繋ぎピン。
相手の得意技を逆に仕掛けるというのはオーソドックスな展開だったりするんだけど、
まさかあの局面でこうくるとはまったく予想してなかった。
ただやり合うだけじゃなくて、もっと深く、心理、感情、そして過去をも
飲み込んで表現するプロレスの奥深さ。それを味あわせてもらった。


やっぱり、すぐに結末を想定してしまうんじゃなくて、その試合、局面、
一つ一つの仕草。それらを素直に受け止め、噛み締め、味わい、そして楽しみ、
感じることでよりプロレスを楽しめるんじゃないかなぁ。
それくらいの間口の広さ、そして奥深さがある。
それをここまで良く表現できてるDDTはすげえなって思った。