深淵

スカパーのHDアップグレードキャンペーンに乗っかるとともに、
家族会議での交渉の結果うちの視聴契約がJリーグライブから
欧州+Jセットに変更に。
というわけで早速UCLのライブ放送を観戦。
やっぱり世界最高峰の戦いはもう、凄いって言葉じゃ表せないぐらい
凄いわけで。本当に眠気が軽く吹っ飛ぶ。


特にもう衝撃的だったのが今朝のマドリーvsリヨン。
1stレグはリヨンがホームで1-0で勝利。
その結果を受けてマドリーのホーム、サンチャゴベルナベウでのゲーム。
当然のように逆転を狙うマドリーが立ち上がりから猛然と仕掛ける。
そして前半6分にクリスチアーノ・ロナウドがドリブルで持ち込み
角度の無いところからGKの股を抜くシュートを決め先制。
あっという間にスコアをタイに持ち込む。


マドリーの攻撃っていうのは、圧倒的な個の力を全面に押し出して、
個と個のコンビネーション、あるいは独力の突破で相手を崩す。
すさまじく高いレベルの選手が揃ってるからこそできるスタイル。
バルサみたいに複雑かつ有機的な部分は少なくて、本当にシンプル。
シンプルさがはまるとすさまじい破壊力になる。
が、その反面、戦術、戦略的な引き出し、対応力はあまりない。


それでもこの試合はその個の力が生み出すシンプルで圧倒的な
破壊力で、押し切る形になるのか…と前半までは思った。
リヨンのゲームプランはなんとか無失点で長時間しのぎ、
あわよくば隙を突いて得点を奪い0-1で、あるいは0-0でしのぎきる。
そういうものだと思っていたから、6分での失点は痛かった。
しかし、その失点すらも想定のうちに入っていたのではないか。


よくよく思い返してみれば、明らかに前半のマドリーは飛ばしすぎていた。
攻撃はもちろんのこと、なんとか早く2点目を奪おうと、全体が過剰すぎる
ほどボールにプレスを掛けに走り回っていた。
そしてそれこそがリヨンの仕掛けた罠だったとしたら。


後半開始と共に選手交代で切り替えるとともに、パスを配球できる
シェルストレームを投入することでポゼッションを高める。
前半ほどのプレスをマドリーはかけられず、リヨンがボールをコントロール
し始め、じょじょにマドリーゴールへ迫りはじめる。
そして、75分という最高のタイミングで状況を一変させ、マドリーを
地獄に突き落とすゴールが流れるようなコンビネーションから決まる。
デルガドの丁寧なパスからリサンドロ・ロペスの完璧なポストプレイ。
その落としに迷わず飛び込んだピアニッチがワンタッチコントロール
シュートに最適なポイントにボールを置くと迷わず動きの流れの中
左足を振り抜きカシージャスの脇を破る。
そしてその一連の流れの基点はシェルストレームだった。


1stレグの結果を受け、どうすればトータルで勝ち抜けるか。
攻めることしかなかった、それしか方法を見いだせなかったマドリー。
リヨンはアウェーゴール、相手のスタイル、戦略、すべてを冷静に
計算した上での綿密な戦略を立て、それを完遂した。
深読みしすぎな部分もあるかもしれないけど、あまりにも見事な
その展開、結果は凄かった。
単純な選手の能力云々ではなく、フットボールの奥深さを、
その底知れぬ部分を見せられた気がした。